1 馬具

馬具の良し悪しは、馬にとっても騎手にとってもたいへん重要なことです。
悪い馬具は馬や騎手を傷つけるだけではなく、乗り心地も悪いものです。

(1)鞍

馬場鞍、障害鞍、総合鞍など、いろいろな型の鞍がありますが、
正しく乗るために、鞍は自分の体に合ったものを使用します。

(2)勒(ろく)の名称

(3)頭絡のつけ方

最初は寝張頭絡(無口)(ねはりとうらく(むくち))を使います。
馬房内に入り、「馬に近づくには」のように、馬に近づき、すみやかに頭絡をつけます。

頭絡をかけたら所定の場所につないで馬の体や蹄の裏の手入れをしてから装鞍、装勒の用意をします。 
馬を繋ぐときは緊急の場合にすぐほどくことができるように結びます。

(4)綱(ひきて)の結び方

2 馬の取扱い

(1) 馬に近づくには

馬が馬房内にいるときと、厩舎外に繋がれているときとは多少違います。

馬房内にいるときは、必ず「ホー」「ホーラ」と低く声をかけ、馬が人に注意し、
落ちついているようだったら、静かに馬の左側から近づきます。

初めて接する馬の場合には、十分馬に声をかけて馬が馴れてから馬房に入り、
草や人参を与え、左肩側より頸や背を柔らかく叩いて愛撫をしてやります。

馬が馬繋柱につながれている時には、まず馬の1mぐらい前方で、
馬の顔を静かに見つめてその目や耳の動き方をよく見ます。

馬が耳を人の方に向け目も落着いたとき、静かに「ホー」「ホーラ」と声をかけながら
近づき、頸をなで、左肩側より近寄ります。

このように、馬に近づくには絶えず馬の目や耳に注意し、
馬が人の予告を承知した状態が現われたときためらわず一気に近寄ります。
人がこわごわ近寄ったり、威嚇するように近づくと馬に不安を与え、攻撃されることがあります。

(2)馬を側方に寄せるには

 

 馬を側方に動かしたいときには、まず後駆を移したい側に
移動させてから、前駆を動かします。

 図のように右に寄せるには、左手で馬の口に近い手綱を持って
軽く手前に引き、右手を伸ばしてAのように馬の腰の部分を
右へ静かに押して後駆を右へ移し、
ついでBのように肩を押して前駆を右へ移動させます。

(3)肢を上げるには

 肢を上げるためには、まず馬を正しく立たせます。
 左前肢を上げるときには馬を安心させながら左肩を軽く右の方へ押し、
今まで左前肢にかかっていた体重を右前肢に移し、左手で左前肢の管を握り肢をあげ、
図のように右足を後に両足を開いて左手で繋の所を握り、
馬の膝を自分の左股に乗せて支えるようにします。
 この時自分の身体の左側で馬の左肩を少し押し加減に支えてやると
馬の体重が上げた肢にかかってこないので長く上げていられます。

 後肢も前肢と同じ要領ですが、馬の肩から自分の体をなるべく接して背を撫で、
そのまま尻から肢におよびなでながら、管を握り肢を持ちあげます。

 後肢の時は、馬が前肢よりも上げることを嫌ったり、蹴る真似をする馬が時々ありますが、
この時、怖がって手を放すと、本当に蹴られることがあるので、
あわてることなく管を握ってしばらく我慢していると、大抵馬が従います。

 下図のように球節の部分を自分の左股の上に託すようにし、
前肢と同じように自分の身体の左側で馬の左後肢を右の方に押します。

 一般に危険を予防するためには、まず馬の肩側から馬体に接して行動し、
片手は常に馬体に触れるようにします。 馬体から離れることは
かえって危険が多いので注意しましょう。

1)前肢(堅固に保持する場合)

2)後肢(堅固に保持する場合)

1 十分に左足を踏み込んで、
馬の膝を左股にのせて支える。

2 左手で繋の部分を握る。

3 馬が、左側に体重を移さないように
身体の左側で馬を支える。

1 後駆を左へ倒さないように
馬の左股を身体の左側でささえる。

2 左手で繋の部分を握り、
球節部分を左股で支える。

(4)馬体の手入れ

馬体の手入れは、日課として重要な仕事です。
体にブラシをかけ毛の手入れをすることは、フケを取り、
皮フをマッサージすることによって血液の循環を良くし、健康増進に役立ちます。
また、汗をかいた後は十分に拭き取って早く乾燥させてやります。

ブラシかけ ひずめ洗い

(5)蹄の手入れ 

蹄に汚物や泥土をついたままにしておくと、蹄内の水分を吸収して蹄を乾燥させるので、
水でこれらを洗い流し清潔にします。
水分を補給するため水洗いをしたらすぐにふき取らないで自然に乾くのを待ち、
適度な湿りを保つため蹄油 (植物性の油)を塗ります。
蹄を不潔にして湿った状態で放置しておくと、蹄の裏から腐ってくる病気になることがあります。
手入れをする時は、必ず馬体を検査して病気やけがの発見、予防や保護に努めることが大切です。
(馬の管理参照)

馬の首にブラシをかける時は図のように寝張頭絡を持つのがよい。馬が□でいたずらをする時は図のように肘で予防するとよい。
馬体の後ろの部分にブラシをかける時は左手で体を支えるようにするとよい。
馬の後ろを通る時は図のように馬の尾のつけ根あたりを持つとよい。ただし、十分注意すること。

3 馬装

(1)鞍の置き方と持ち方

鞍の置き方鞍の置き方
腹帯を下にして鞍の前橋を傷つけないようにします 壁に立てかける時は、腹帯で前橋と後橋を傷つけないようにします
悪い鞍の置き方
このように置くと鞍骨が開いて鞍を台なしにしてしまいます
鞍の置き方
鞍の持方

(2)鞍のつけ方

 鞍は馬が落ち着いていることを確認した後、前から近づき、
アブミ、腹帯を鞍の上に乗せて、馬体の左側から馬の頸に
近い方から静かに背中に置きます。

 頸の方からすべらすようにして鞍を置きます。

 鞍の下で、毛の流れが不正になっていないか、
ゼッケンが正しく位置しているかを確かめます。
 腹帯をたらし前橋の部分を後下方へ
押してみて鞍の安定を確認します。

 前橋と、き甲の部分が当らないようにすき間を作ります。
 この時、き甲に鞍が当り、すりむくことがあるので十分に注意します。

 最後に馬の左側に戻って静かに腹帯を締めます。
 最初はあまり強く締めず、様子を見て増し締めします。

(3) 勒のつけかた

 手綱を馬の頸に近い方へかけます。
 右手で勒の両頬革を持ち、この手を馬の鼻梁の
部分に持ってきて、馬が頭を高くあげようとすることを妨ぐようにします。

 左手はハミにそえて馬の口に入れてやります。

 馬が口を開けないときは、左手で唇の間に
指を入れて口の中をなでるようにすると口を開けます。

 口を開けたら、右手を額の方へ上げながら
左手の助けをかりて、ハミを馬の口へ入れます。

 つぎに、片方ずつ馬の耳を前へ傾け項革、
額革を所定の位置にくるように装着し、咽革をかけ装勒終了です。

 咽革は握りこぶしが楽に通る位に緩くかけま

4 乗馬、下馬

馬を馬場に連れ出して停止させ、手綱を馬の頸にかけ、馬体の両側にアブミをたらします。
アブミ革の長さは、自分の腕の長さと同じ位が基本的姿勢を作るのに適当です。
鞍が馬の背で移動しないように指が二本入るぐらいに腹帯をもう一度締めます。

(1) 乗馬の手順(アブミを使用して)

肩を叩くなどして、馬が落ち着いているのを確認します。
以後の動作は素早く行います。

右手で頤凹の所の左手綱一本だけを持ちます。

右手に持った手綱を手の中で滑らすようにして、
一歩右へ寄りながら馬の左肩に面するようにし、
鞍の前橋まで持っていき、両方の手網が馬の口からピンと張るようにし、
頸の付け根の所で左手に馬のたてがみと一緒に握ります。
思いっきり握っても馬はいやがりません。
 手綱の端は馬体の右側の方へ垂らします。

体を少し右へねじります。右手でアブミを外側からねじり、
押さえて左足をアブミにかけます。
届きにくい時は、アブミ革を少し長めにしても良いでしょう。

後橋にかけた右手と左足の軽い蹴りと、
たてがみをつかんだ左手の引きで、タイミングよく
左足のアブミの上に立つようにします。

左足先で馬のお腹を蹴らないように注意しましょう。

アブミの上に立ちあがったら、両手で体を
支えながら少し体を前の方へ 倒し
すばやく右手を前橋に移し、体重の大部分を右手とお腹で支えます。

支えている前橋上の右手を中心にして、
体を左側へ回転させながら右脚を後へ上げ、
馬の尻にさわらないようにしながら静かに鞍の
中へ体を落ちつけるように座ります。
最後に右側のアブミをはいて、左手をたてがみから離し、
馬の肩を叩いて落ち着かせます。
両手に手綱を分けて持ち乗馬終了です。

(2) 下馬の手順

下馬のときは乗馬の逆の手順で動作します。
まず、馬の肩を叩いて、騎乗させたことをほめます。
両方のアブミをはずし、キ甲の直前の所で両手綱を合わせ左手で持ち、
右手を前橋に置き、体重をかけながら右足を馬のお尻を越えて左足にそろえて降ります。
乗馬の最初の姿勢に戻ります。

5 手綱の持ち方


水勒手綱の場合

小指の下、または、小指と薬指の間を通って
親指と人差指の間へ抜けるように持ち、
手綱のあまりの端は、親指の側から外へ出して
馬の頸の右側へ垂れるようにします。

こぶしは、手綱をとおして騎手が馬の動きを感じ取ったり、また、
逆に命令伝達をするために軽く馬の口に接するように正しく持たなければなりません。

正しい拳

拳の関節は、下腕の延長線上にある。

悪い拳

拳の関節は、押し曲げられて硬くなっている。

 

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